2016年07月16日

無法のモンスター

いま「無法の国」といわれて瞬時に思い出すとすれば、テロと内戦に明け暮れる中東・アフリカ諸国のどこかだろう。しかし国連の常任理事国の一角を占め、GDP世界第二位として仮にも「大国」と呼ばれる国が、実はとんでもない無法のモンスター国だった、というのが現実世界のオチである。

フィリピンが国際司法裁判所に提訴した南シナ海問題への判決に従うそぶりは全く見せず、それどころか自らが責任ある地位を占める国連機関の出した結論を「日本の陰謀」とまで言い募りこれを無視する。言わずと知れたあの国、中国である。

しかも自らが「経済支援」というエサで釣った国家や友好関係にある世界中の「政治組織」の支持票をかき集め、これを「国際社会の声」と嘯く始末だ。傲慢で品格のない田舎の金持ちのイメージそのままだ。

こういう厄介な隣国を向こうに回して、安倍首相はASEM首脳会議の場において「中国は法を守れ」と堂々と主張した(時事電子版)

>安倍晋三首相は16日、モンゴル・ウランバートルで開かれているアジア欧州会議(ASEM)首脳会議で、南シナ海問題をめぐる仲裁裁判の判決について、「最終的なものであり、紛争当事国を法的に拘束する」と述べ、中国に順守を求めた
>首相は、この問題が「国際社会共通の懸念事項」であると指摘すると同時に、「法の支配は国際社会が堅持していかなければならない普遍的原則だ」と強調。「当事国が(仲裁裁判所の)判断に従うことで、南シナ海での紛争の平和的解決につながることを強く期待する」と述べ、判決の受け入れを拒否している中国に軟化を促した
>さらに首相は「航行、上空飛行の自由は平和と安定に死活的に重要だ」と強調。海洋紛争への対応については、国際法に基づき、力や威圧を用いず、平和的に解決するよう呼び掛けた
>また、北朝鮮の核・ミサイル開発や拉致問題について、首相は「断固たる対応が必要だ」と述べ、国際社会が連携して北朝鮮に外交圧力をかける必要性を訴えた


「法の支配」はいやしくも法治国家を自認し責任ある大国として国際社会に君臨する以上、誰も反対できない命題のはずである。これに従わないということはとりもなおさず自ら法治国家ではないことを公言するものであり、自らが常任理事国である国連の権威を毀損するものでもあろう。

しかし現実は下記のとおり(時事電子版)

>ベトナム紙タインニエン(電子版)は9日、南シナ海・南沙(英語名スプラトリー)諸島のクアテロン(中国名・華陽)礁周辺に中国が艦艇を送り、他国艦船の接近を阻止していると報じた
>ベトナムが実効支配している海域で操業する同国漁民は「近づこうとすると、中国の高速艇が接近し、兵士が銃で威嚇する」と証言しているという


「力の支配」そのままにやりたい放題だ。

国内経済は傾きつつあるとは言え、その経済規模では圧倒的な影響力を持つがゆえに、誰もこの国を制御できないでいる。諸外国の腐敗権力に取り入ることでいいかげんなプロジェクトを手中にし、ウィルスの如く各国の支配層に浸透する。まさにモンスターである。

日本は南シナ海ではシーレーン確保、東シナ海では尖閣諸島の実効支配維持強化という大命題がある。公の場で「正論」を語るのは重要だし、そのために様々な努力もあっただろうが、これからは「正論」を実効あるものにするための強力な戦略を構築すべき時期だ。モンスターは暴れる時を待っている。
posted by 三四郎 at 13:34| 千葉 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 政治・経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする