2016年11月12日

サイレントマジョリティの勝利

文字通り「すったもんだ」の末に米大統領選はトランプ氏が勝利した。終盤戦ではほぼクリントン有利というメディア観測が主流となり、トランプ氏自身、やる気があるのかないのか分からない雰囲気になっていたが結果は衆知のとおり。

そんな中、米国は反トランプ派によるデモが多発し暴動レベルにまで発展しているケースもあるらしい(@niftyニュース/時事)

>全米の各都市に広がったドナルド・トランプ氏の大統領選勝利に抗議するデモは前日に続き、10日も行われた。西部オレゴン州ポートランドでは、デモ隊が車両を壊すなど暴徒化し、地元警察は「暴動」と宣言した
>CBSテレビなどによると、デモは10日もペンシルベニア州フィラデルフィアやカリフォルニア州オークランドなどの都市で数百人から数千人規模で行われた。大半の都市でデモは平和裏に行われたが、ポートランドでは、デモ隊が壁に落書きしたり、警官に物を投げたりして暴徒化。警察は唐辛子スプレーやゴム弾を使用して対応し、26人を逮捕した
>こうした中、トランプ氏は10日夜、ツイッターで、「プロのデモ隊がメディアに扇動され、デモを行っている。全く不公平だ」と反発。しかし、この約9時間後の11日朝には「デモ隊の偉大な私たちの国に対する情熱」とたたえた上で、「団結し、誇りを持とう」とつぶやき、批判路線から一晩で軌道修正した


混乱の中でトヨタの販売店も車が破壊されたもという。まさにわけわかめ状態で、米国の印象を悪化させる以外の何物でもない。どこの国にも「プロ市民」はいるようで、それもリベラルを自称あるいは支持する側に多いようだ。トランプ氏が選挙期間中に、「敗北した場合の結果を受け入れるかわからない」旨の発言をしたとき、反トランプ陣営はもちろん、現職大統領やメディアもこれを批判したものだ。

しかし真逆の結果になってみれば態度も真逆だ。実に分かりやすいがこれが米国のリベラルとは信じたくないものがある。いやしくも「自由と民主主義」を標榜する大国であれば、リベラルだろうと保守だろうと、ルールに則り平和裏に行われた選挙結果を拒否すべきではない。実際、クリントン氏もオバマ氏も、この結果を受け入れている。

今回の結果は、クリントン氏のスキャンダルやキャラクターへの不人気があったにせよ、俯瞰的に見れば前記事で書いた通り「怒れる大衆」の思いが爆発し「民意」となって示されたことだと思う。この場合の「大衆」は合法不法問わず昨日今日やってきた「移民」たちではない。建国以来この国をつくり支えてきた(と自負する人々を含む)中間層に属する庶民、"poor white" たちである。

彼らが実際に職にあぶれ、移民たちによって生活の安全をさえ脅かされている日々が常態化しているとすれば、トランプ氏の勝利はむべなるかなであり、反トランプ陣営、メディアのネガキャンが無ければ投票数でさえクリントン氏を上回っていたのではなかろうか。

さておきこの御仁、誠に正体が見えない。あれだけ批判してきたオバマ氏と早々に「手打ち」し、デモ隊を「プロ」と言い放った(多分にその可能性があるが)かと思えば、直後に一転し「情熱」と讃えるなど、当選後の株・為替相場同様くるくる変わる印象がある。

しかし一介の不動産業者から事業を拡大展開し、世界有数のセレブに名を連ねた人物だ。内面はそうとう強かなリアリストなのではないかと思う。ただ政治の世界に慣れていないため、かなりナイーブというかプリミティブな面が強調されすぎているように感じる。支持層の手前、急激な方向転換はできないだろうが、在日米軍の費用負担の問題などは多分に思いこみの部分もあり、徐々に軌道修正してくるのではなかろうか。

いま、米国は分裂しているというが、考えようによっては政治的なエスタブリッシュメントではないトランプ氏が大統領になるということはまさに「アメリカンドリーム」を体現していることなのではないか。米国民はもう少しクールダウンすべきだろう。
posted by 三四郎 at 10:24| 千葉 ☁| Comment(2) | TrackBack(4) | 政治・経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする