2017年01月22日

トランプ政治の隙

「米国第一」を掲げ保護主義への傾倒を隠さないトランプ氏が第45代アメリカ大統領となった。選挙後のメディア対応や就任演説について内外の「識者」やコメンテーターたちは「選挙キャンペーンそのまま」と批判とも揶揄ともつかない批評を加えているが、俺的には「選挙キャンペーン」を引きずっているというよりは、就任前から「トランプ流」の統治を始めていたように思われる。

ともあれ就任時としては史上最低の支持率で迎えられたトランプ氏、パレードの裏側では「反トランプ」派に混じった「社会主義者」が暴徒化して富裕層御用達の店を破壊するなどしていたらしい(日経電子版)

>ドナルド・トランプ米大統領の就任式に合わせて首都ワシントンに集結した反トランプ派の一部が暴徒化した。人種差別主義者とみなすトランプ氏に抗議しているが、実は一皮むけば資本主義や小さな政府に抗議する「社会主義運動」の側面が強い。だからこそ暴徒化したデモ隊が実際に攻撃したのは白人の富裕層、大企業の店舗、高級車といった貧富の格差を象徴するものばかり。「反トランプ」を隠れみのに格差のはけ口を探している
>就任式があった20日、暴徒化した反トランプデモの参加者がレンガや鉢などをマクドナルドやスターバックスなどの店舗や高級車リンカーンに投げつけ、破壊活動を繰り返した。結果、220人近い逮捕者が出た。店員は「ヤツらはトランプとマクドナルドが嫌いなんだよ」とあきれた顔で語った
>だが、トランプ氏は米大企業への巨額の寄付から距離を置く政治家だ。反トランプと大企業攻撃は本来直結しない。スターバックスにいたってはリベラルな社風で知られる。このデモを招集したのはIGDという反人種差別とともに反資本主義を掲げる団体だ。要は資本主義の象徴として大企業を攻撃しているだけなのだ
>黒装束にマスクのいでたちのデモの参加者は匿名で取材に応じ「破壊した建物は公的な施設。結局、修理も税金で払うことになるから問題ない。現状維持の破壊を象徴する行動だった」と語った。私有財産権への意識が弱く、抗議と無関係の第三者の私有財産を破壊することに対し罪悪感は感じていないようだ
>就任式前夜にも、同じグループがトランプ支持者のイベントが開かれるホワイトハウス近くのビルの前に集結していた。ビルから出てくる裕福そうな身なりの白人に対し見境なしにスプレー缶などを投げつけ、取り囲んで罵声を浴びせた。そこにあるのは単純な持てる者への怒りだけだった
>「わたしたちは注文した食事を受け取りにきただけだったのよ」
>持ち帰りの箱を地面にたたきつけられた婦人はそう吐き捨てた。顔を紅潮させ、泣きそうになりながら足早に立ち去っていった。ただ、こうした富める者への強い拒絶反応は決して反トランプ過激派だけのものではない
>就任式当日の朝7時ごろ、気温セ氏4度の小雨が降る寒空の中、反トランプデモに参加する様々なグループがホワイトハウス近くのユニオン駅前に続々と集まって来た
>「トランプと戦え」「トランプはファシスト」「少数者を弾圧する警察を倒せ」「パレスチナを解放せよ」
打楽器に合わせて拡声器から様々な掛け声が鳴り響く。ひときわ目立つのが「社会主義革命を起こせ」というメッセージだ。「社会主義革命」のプラカードをみながら横を通り過ぎていくトランプ支持者たちは「社会主義者なんているのかよ」と目を丸くしながら見下すような笑いを浮かべている
>「リーマン・ショックが社会主義の復活とサンダース氏の台頭を生んだ。社会主義は中国で洗練され、より高度な段階に入りつつある。労働者の味方のふりをして格差をさらに広げるトランプ政権に異議を唱え続けていくよ」。デモの参加者で、ホーチミン氏を敬愛しているという社会主義者、ジェレミー・バウマン氏(34)は威勢よくこう語った
>デモに参加した主要団体の一つ、米労働者団体ワーカーズ・オルグの活動家トム・アンスウィーニー氏(26)は「黒人のミレニアル層を中心に会員は増えており、2500人に達した。冷戦終結後に退潮した社会主義は確実に復活してきている」と指摘する
中略
>パレードの沿道でトランプ氏を応援する帽子をかぶり、反トランプ派の群衆の中に独り交ざっている様子をネットに実況中継していたテキサス州から来た建設業マット・ディエズ氏(38)は「全く恐怖は感じなかったよ」と涼しい顔で答えた。パレード終了後には、周囲の反トランプ派と雇用や社会保障をめぐりカンカンガクガクの議論をたたかわせていた
>その周囲には次の選挙をにらんだ「サンダース2020」と書かれたカードがいくつも掲げられていた。反トランプ派も就任日に騒いでも無駄だとわかっている。「反トランプ」は様々な勢力を結集する口実にすぎない。関心は大統領選で民主党のバーニー・サンダース上院議員が巻き起こした社会主義ブームをどう継続させるかに移っている
>デモ参加者の集会で米労働者団体、ジャクソンビル・プログレッシブ同盟のコーネル・クルームス氏(26)はラップ調でこう絶叫した。「アメリカよ。労働者が社会の中心に躍り出る時代が来つつあるぜ


ノイジーマイノリティが鳴り物入りで激しいデモをし、社会秩序を破壊しようとする行為はどこぞの「反基地闘争」に通じるものがある。

それはさておき、「反トランプ」のデモの掛け声の中に「パレスチナ」という直接関係のない政治問題を叫ぶ者や警察権力全体を敵視する者が紛れ込んでいるようだ。これもまた「反基地」に絡めて「反原発」「反差別」といった内容の異なる政治的主張をないまぜにして叫ぶどこかのデモ隊に似ている。

こうした運動の背景に何があるのかを新政権は括目して考察すべきだろう。社会主義者の復古運動と括るのは簡単だが、社会主義が「中国で洗練された」という主張の意味するところを軽視すべきではない。

トランプ氏は"poor White" の立場や境遇や感情を代弁する形で大統領になった。少なくとも見かけはそうである。彼らと暴徒化した反トランプ派とは「持たざる者」という共通項を有している。そこに「洗練された社会主義者」を操るものが付け入る隙ができはしないか。真の敵は協調を装いつつ体内に入り込み内部から不協和音を起こさせて侵食していく。

政治・軍事の素人大統領が舵を切るこれからの4年間を象徴するような一日であったと思う。
posted by 三四郎 at 16:10| 千葉 ☀| Comment(5) | TrackBack(0) | 政治・経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする