2017年08月05日

倫理崩壊

トランプ大統領就任以降、ロシアの大統領選挙介入への疑惑やら首脳会談の内容やらの「その道」に通じた人物でなければ知り得ないような情報が相次いで暴露、公表されている。

これに業を煮やした政権側が関係者による情報漏洩取り締まりを厳しくする模様だ(時事電子版)

>セッションズ米司法長官は4日、機密情報の漏えいに対する取り締まりを強化していると明らかにした。記者会見で「リーク文化を終わらせなければならない」と強調。トランプ政権発足後の半年間、情報漏えいに絡み司法省が進めている調査量がオバマ前政権末期の3倍を超え、これまでに4人を訴追したと公表した
メディアへの強制捜査に関する規定見直しにも言及。「報道機関の役割の重要性は今後も尊重するが、限界はある」と語った。米メディアによれば、漏えい情報に基づき記事を執筆した記者が刑事責任を問われる可能性があるのか、ローゼンスタイン司法副長官は言葉を濁している
>トランプ政権では、ロシアによる米大統領選介入疑惑や幹部間の内紛をめぐる暴露話が、しばしば報じられてきた。トランプ大統領は先に、情報漏えいへの対応で「司法長官には、もっと厳しく対処してもらいたい」と注文を付けていた
>7月末には軍出身のケリー前国土安全保障長官を大統領首席補佐官に起用し、規律重視の姿勢を打ち出した。だが、今月3日には米紙ワシントン・ポストが、1月27日に行われたトランプ氏とメキシコ大統領らとの電話会談について、秘密のはずの会談内容を独自入手して記事を掲載している


この問題、基本的には公職に関わる者と報道関係者双方の職業倫理即ちモラルが問われているのだろう。

公職にある者として国家の運営に関する守秘義務は何にも優先すると考える。モラルは国家の存続を支える基盤のようなものだ。個人の思い、好悪で情報が拡散するようでは国として成り立たない。

また一方で自由主義の国においては報道の自由や権利も最大限尊重されるべきだし、ふさわしからぬ権力者の暴走、迷走をチェックしその仕事ぶりを評価する役割も認める。

しかしその手段として報道機関が公務関係者、利害関係者のリーク=情報漏洩を教唆し奨励することは明らかに一線を超えている。それが高じれば報道の暴走、迷走に繋がるわけで、そこに一定の規制を設け歯止めをかけることは当然に必要であり、これを言論弾圧・統制と同一視することは議論のすり替えというものだ。

もちろん公権側の不正、腐敗を許せというのではない。ただそのために情報漏洩という禁じ手を使う以上は、その提供者は職を賭する覚悟を持つべきだ。

同様にこれを採用する報道機関には情報の真贋を見極め、提供者とともに事実の立証責任を負い、場合によっては名誉棄損や誣告罪などを引き受けるという相応のリスクをとるべきだ。

そして誤報や捏造などで報道機関が過ちを犯した場合のペナルティも明確に定める必要がある。食中毒を起こした食品メーカーや外食は業務停止となり、不良品で事故を起こした自動車部品メーカーは大規模な損害賠償責任を負う。

その一方で報道機関が自ら発信したニュースの与えた影響について何ら責任を問われない状況であれば、「言ったもん勝ち」の世界となり、業界だけでなく社会のモラルが崩壊する。そもそもそれは社会規範の公平性にも反する。「ニュース」が「商品」である以上、その品質とともに「製造工程」すなわち「情報入手プロセス」も含めた「管理責任」を負うのは当然である。

いささか死語になりつつあるが、報道機関が自らを「社会の木鐸」と自惚れるならそれなりの「ノーブレスオブリージュ」を一市民として俺は要求する。
posted by 三四郎 at 07:48| 千葉 ☔| Comment(0) | 社会・教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする