2011年12月31日

政官の火事場泥棒

昨日、政府・民主党は「社会保障と税の一体改革」案をまとめた。財政再建と社会保障のバランスをとるという意義は認めつつも、政官に真の危機感があるのかと疑わざるを得ないものだ。

それは財政再建策としての消費税増税が前面に躍り出ている反面、恒久的な歳出削減策としての年金を含めた公務員制度改革、議員定数是正などの「痛みを分かち合う」施策が全く具体化していないことである。

この点は野田首相自ら意識してはいるようだ(時事電子版)

>野田佳彦首相が30日夜、公邸前で記者団に語った主な発言は次の通り。
>−社会保障と税の一体改革の政府・民主党案がまとまったが
>怒号を上げるのではなく、意思決定ができた。非常に大きな前進だった。来年早々、第1週の、政府・与党の社会保障改革本部での最終的な意思決定を踏まえて、野党に真摯(しんし)に協議を呼び掛けていきたい
>−国会議員定数や公務員給与削減などが消費増税の前提条件となるか
>まずは自らの身を削れという国民の声が大きいことを十分承知している。国会議員の定数削減や公務員の人件費削減などの努力をしっかり行う。これらの努力をした上で、消費税を含む税制の抜本改革を行っていきたい

>−消費増税の半年先送りで、国と地方の基礎的財政収支の赤字を国内総生産(GDP)比で半減させる政府目標の達成が厳しくなる
>少し苦しくなるが、新成長戦略や日本再生戦略の実施で死守していきたい


一応「身を切る」施策の必要性は認識しているようだが、増税のロードマップが明確に示されていることと比較すれば、「公務員制度改革」「公務員年金見直し」「議員定数削減」はまともな議論さえ展開されているように見えない。認識レベルの差は明瞭であり、財政再建取り組みへの真摯さ、危機感のレベルが疑われる。

さらに税収増のためには景気回復、企業収益の増加が必須であるはずだが、そのための規制緩和や競争促進への施策は全く示されていない。一体何が「成長戦略」であり「日本再生戦略」なのか。

「一体改革」は社会保障と税だけで実現するものではない。政官のあらゆる分野における既得権益の抜本的見直しを行うことこそ歳出削減の本質であり、それなき「改革」は所詮まやかしというものだ。現状は、大震災を受けて国民の間に「復興のためには増税やむ無し」という自己犠牲的精神が醸成されていることに便乗した政府・民主党の「火事場泥棒」としか思えない。
posted by 三四郎 at 09:24| 千葉 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治・経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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