2015年10月25日

ご冗談でしょう、ヴォーゲルさん

エズラ・ヴォーゲルという名前を見て、はてどこかで聞いたようなと思ったら、かつて「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という本を書いた米国の社会学者だった。

この本自体は読んでいないが、漠然と俺の頭の中では「知日派米人学者」というイメージだったのだが、それはどうやら俺が日本人として、好意的な理解者・贔屓者であってほしいと思いこんだだけのようだった。

この人は中国研究にも深く入り込み、自身、中国名を持っていることからむしろ日本に対しては必ずしも好意的ではない、少なくとも政治的には対日批判色が強い人物とみた。

そう考えると、日本をおだてて宥めて誘導しようとする以下に引用した講演の意図が見える(楽天NEWS/SAPIO)

>『ジャパン・アズ・ナンバーワン』の著者、社会学者エズラ・ヴォーゲル氏は、2度の日本滞在経験を持ち、1961年からは中国社会についてもリサーチしてきた。去る6月13日、城西大学創立50周年を記念して来日。「東アジア これからの50年」と題する特別講演を日本語でスピーチした。ヴォーゲル氏は東アジアでのプレゼンスを失いつつある日本についてこう語った
>私からいくつか提言したいことがあるのです
>一つは、もう少し自然な英語を使うことです。英語の文法がわかっていれば試験には受かるけど、外国人と自由に会話することには直接結びつかない。私たちアメリカ人は、特に英語が良い言語だと思っているわけではありません。英語より優れた言語はあるでしょう
>しかし英語は多くの場で通じます。現状では世界中で使える言語はやはり英語しかありません。ですから、もっと自然に英語を勉強する必要があるのではないでしょうか
>もう一つは、隣国とうまくやっていくためにはもう少し我慢して、別の方法で進める必要があります。日本の友だちの話を聞けば、日本人の気持ちも多少わかります
>例えば韓国人は戦前の話と慰安婦の話ばかりを大げさに言っている。日本は以前基金(アジア女性基金)を出しましたが、韓国人は当時はもうよいと言ったのに、その後で手のひらを返していると。もっと重要なことは、日本人はすでに何回も、首相の談話などで謝ってきているのだと
>ただしそれでも韓国とうまくやっていくためには我慢する必要があると思います。また日本が悪かったということを、何度でも言い続ける必要があると思います
>慰安婦だけではなくて、1910年以来35年間の日本の植民地時代に、韓国人は圧迫されたという気持ちがあります。それから戦争中は労働者として、韓国人は日本に強制連行されました。労働者たちは苛酷な条件で仕事をさせられたという気持ちがある
>しかし60年代、韓国は日本のお金や技術が必要だったから、反発があっても言いませんでした。今の韓国はサムスンが強くなったし、ヒュンダイも弱くない。そういう状況の中で、ものが言える時期になったという背景もあると思うのです
日本はもっと低姿勢になり、国のトップがかつての河野さんや村山さんと同じように、思いやりと責任感をはっきり表明する必要があると思います
何が正しい、何が正しくないという立場ではなくて、隣の国とうまくやっていくために何が必要か、という立場からそう思うのです
>日本国内には、新しい分野であらゆる開発が必要です。しかし国内のよさを守ることも大切でしょう。犯罪が少ないこと、長生きする人が多いこと、良いところが色々ありますので、それは続けてほしいと思います


もともと関心が低かったとは言え、この人を「知日派」と感じたのは実に俺の不明の至りだった。

前段の英語の重要性とそれを日本人がもっと使いこなすべきという点はまあいいとして、中段以降は全く一方的な「韓国視点」のみで日韓史を捉えている、実に表面的で偏向した考え方であり、日本人として全く同意できない。

「慰安婦問題」や「強制連行」など日本人から見れば合法的な売春婦を雇用契約したり、多くの韓国人が自らの意思で本土に出稼ぎ労働にやってきた実態を無視し、言及さえしていない。

ただただ「韓国とうまくやりたいならひたすら我慢して低姿勢でいなさい」と、まるで聞き分けのいい長男に対して、子供への理解が足りない親が「あなたが我慢してわがままで幼稚な弟と仲良くしなさい」と諭しているような図だ。

およそどんな二国間関係であっても、どちらかが片務的に政治的経済的精神的負債を負わなければならないとすればそれはもはや健全にして対等な外交関係にはない。つまりは従属か敵対かのどちらかである。

ヴォーゲル氏は日本に対してそれを求めている。それも日本の立場や考えを理解しているふりをしながら無視しつつ求めている分、たちが悪い。

ヴォーゲル氏には、多くの日本人がもはやそこまでして韓国と「うまくやりたい」などと望んでいないということを言いたい。そしてそうである以上、悪意的なプロパガンダに対抗するためにも「正しい、正しくない」というのは普遍的に重要な問題だ。

安倍政権発足以来、日韓首脳会談が一度も開かれたこと無く、韓国側の一方的な非難告げ口外交に晒され続けた3年間だった。その間、官民の日韓交流は細くなるばかりだったが、それにより日本が被った実害はほぼ無きに等しい。

一方の韓国側はといえば、対中傾斜を強めながらも経済は停滞し、日韓通貨スワップの復活を始めとする日本の支援を望む姿勢を隠さなくなっている。米国と政治的冷却関係に陥ったことも自由陣営内での孤立化を実感し始め、対日関係改善を内外から求められている。

結局、隣国と「うまくやらなければならない」のは韓国の方であり、そのために諸々「我慢して」「大人の対応」をする必要があるのは、どう見ても韓国側である。

おそらく米国人として米国の立場から「言いやすい」「聞き分けのいい」日本に「我慢してくれ」と言いたいのだろうが、日本人にも感情というものがある。ヴォーゲル氏がどこまで本気でこの講演を行ったのか分からないが、「おととい来やがれ」だ。
posted by 三四郎 at 10:25| 千葉 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 政治・経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この人の戦後の極東認識は、よくて「一般人並み」でしかないのだと思います。 加えて、国際外交認識が、日本人並みの「お花畑的全方位外交」で、こちらが我慢すれば、向こうもそれに応えて譲って来るという性善説を固く信じておられる様で。

 そんな世界なのなら、米国の地球防衛軍並みの軍備や軍隊は絶対に必要ではありませんし、アラブ圏で一般の米国人旅行者が、テロの標的にされる事もないでしょう。 

 つまりは、自らの国の兵士が行っている野蛮な行為や正義の名を借りた侵略行為にすら気が付けていない証拠です。

 ジャパンアズナンバーワンが、こんな人が書いたとは、知る由もなかったのですが、少なからずがっかりさせられましたね。 丸で、似非平和団体の代表者並みのインチキ臭さです。

 是なら、関西のYTVが日曜日にやって居る「そこまで言って委員会」にたびたび出演している、金美鈴女史、ケビン・メア氏やケント・ギルバード氏の方が、辛口ではあっても、より客観的で共感も持てます。 譬え、それが日本への批判であってもです。
Posted by ナポレオン・ソロ at 2015年10月25日 19:21
ソロさん、こんばんは。

私もこの人物には勝手な幻想を抱いていましたが、ここまで底の浅い認識しか持たない人物とは思いませんでした。

>金美鈴女史、ケビン・メア氏やケント・ギルバード氏の方が、辛口ではあっても、より客観的で共感も持てます。 譬え、それが日本への批判であってもです

同感です。彼らは少なくとも日本への共感があります。時に発する辛口の批判も、日本への信頼と尊敬が感じられます。ヴォーゲル氏の言からはそれが感じられず、無関係無責任な他人の言としか思えません。

まあ、所詮は米国人、他人には違いないのですがね。
Posted by 三四郎 at 2015年10月25日 21:16
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