フランスはここ数日、祟られているのだろうか。パリ同時多発テロの恐怖も冷めやらぬ昨日、今度は同国の誇る高速鉄道TGVで死傷者の出る脱線事故があったらしい(時事電子版)。
>フランス東部ストラスブール近郊のエクベルスハイムで14日、技術者らを乗せて試験運転中だった高速鉄道TGVの車両が脱線し、AFP通信によると10人が死亡、37人が負傷した。1981年のTGV開業後、人命に関わる事故は初めて
>TGVは技術者ら49人を乗せ、時速350キロ前後で走行中に脱線。車両の一部が幅40メートルの運河に転落した。警察が事故原因を調べているが、地元自治体当局者は速度超過が事故につながったと話している
すわ、今度は鉄道テロかと身構えたが、原因の解明はこれからというものの、事件性はいまのところ低いようだ。
しかしフランスにとっては痛手だろう。何よりああいうテロの直後だけにフランス国民の受ける精神的ショックは想像に難くない。
開業34年目にして初の死亡事故となってしまったわけだが、それが技術者同乗での試験走行というのが何とも複雑だ。業務走行でなかったのはせめてもの救いだが、一段の高速化を目指した試験走行だったとすれば厳しくも皮肉な結果になってしまった。
高速鉄道というからには、速く走ることに存在価値があるのは事実だが安全を軽視しては無意味だ。鉄道というシステムの構造的限界もある。そこに技術者としての謙虚さがないと悲劇を招く。
幸い日本の新幹線は開業以来半世紀以上無事故を誇っているが、鉄道事業者にとりこれも他山の石とすべきだろう。
2015年11月15日
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フランスで高速鉄道TGVが脱線事故 死者10人
Excerpt: 事故だったようで・・・
Weblog: つらつら日暮らし
Tracked: 2015-11-15 21:50
以下は私の推量に過ぎませんが、白人種独特の冒険趣味も結構ですが、その前に「一体、誰の為の機械・設備なのか?」という原点をしっかり維持しなくては、「安全に寄与する」事にはならないのではないか? 試験走行と謂えど、決して「勇気を試す様な場」ではない事は明らかである。
>「一体、誰の為の機械・設備なのか?」という原点をしっかり維持しなくては、「安全に寄与する」事にはならない
同感です。こういう事故を見るとどこか技術者の傲慢さを感じますね。亡くなったエンジニアには悪いが、速度追究が目的だとすれば、その前提にある人命第一を軽視した皮肉で残酷な結果としか言えません。