2016年12月24日

中国恃みの危うさ

未だに「中国」に期待をつなぐ企業経営者は多い。かつては「世界の工場」として安い人件費を梃に生産拠点として存在感を示してきたが、経済成長に伴い人件費が高騰、その立場は次第に東南アジアに奪われていったものの、今度はその所得に目を付け「市場」としての価値を恃もうというわけだ。

しかしこの国は常に「経済」と「政治」を連動させ、日米もまともな市場経済国家と見做してはいない。そういう国に企業の存続をかけることの愚かさ、悲しさが実感できるニュースがある(@niftyニュース/ビジネスジャーナル)

>1年前の2015年12月、「ユーキャン新語・流行語大賞」が発表され、中国人観光客による「爆買い」が大賞を受賞した。爆買いの恩恵をもっとも受けた企業として、免税店大手、ラオックスの羅怡文(ら・いぶん)社長が大賞受賞の栄誉に浴した。15年12月期の売上高は前年比2倍、純利益は7倍という驚異的な数字を記録した
>あれから1年たち、爆買いの風景は一変した。ラオックスの16年1〜9月期決算の売上高は、前年同期比31.9%減の494億円(前期は725億円)、営業利益は98.2%減の1億円(同75億円)、純利益も97.4%減の1億円(同70億円)だった
>●客単価が落ち込み、全店売上高は半分以下
>ラオックスは中国の旅行代理店と組みツアー客をしっかり押さえることで、爆買い需要を取り込んだ。1人当たりの平均客単価は、春節の15年2月は前年同月比1.6倍の3万7992円、花見シーズンの同年4月は3万9021円と過去最高を記録した。この頃から、爆買いという言葉が頻繁に使われるようになった
>だが、やがて財布の紐は硬くなる。15年11月に客単価は3万円を割り込んだ。16年2月の春節以降、客単価は月を追って落ちていき、同年9月は1万7461円となり、とうとう2万円を下回った。ピークの15年4月と比べると55%減である
>その結果、売り上げは激減した。店舗数は15年12月末の33店から16年10月末には42店に増えているにもかかわらず、全店の売上高は16年2月以降、前年同月の実績を下回った。減少幅はさらに拡大し、16年9月には実に55%減と惨憺たる結果となった
>売り上げは減っているが、中国人観光客の数が激減したわけではない。中国政府は国内消費喚起策として、海外で使われているカネを国内に戻す施策を打ち出し、今年4月から海外で購入した高額品に高い関税を課した。これで爆買いに急ブレーキがかかった
>中国人観光客の消費は、ブランド物の高級時計や全自動炊飯器などの値が張るものから、化粧品や日用雑貨など価格の安い商品に移った。中国での転売を目的としてまとめ買いする団体客が、関税の強化で姿を消したことが決定打となった。中国で転売しても儲からなくなったからである
>中国人観光客も、他国からの観光客と同じように買い物から観光などに訪日の目的が変わったといえる。つまり、普通の観光のスタイルになっただけのことだ。
以下略


国内消費喚起策として市場の規制緩和を進めるのではなく、海外購入品に高関税を課すなど、改革を忌避し即効性に走り自由貿易を維持する気は毛頭ないという、いかにも強権独裁国家らしい動きである。

だけでなく、中国政府は海外旅行客の必携アイテムと言える「銀聯カード」の新規発行を停止してるらしい。

外貨は中共にとり政権を支える打ち出の小づちだろう。「札束外交」で中小国、途上国を囲い込み締め上げる。資源や資金を還流させ、国内経済を好循環に持ち込み統治を強化する。その「勝ちパターン」を崩壊させぬよう内需を喚起し外貨の流出を食い止めたい、という中共の焦りが露骨に経済政策に反映している。

日本の場合はまだ観光客の「激減」には至っていないようだが、台湾は「大陸観光客の激減」が独立志向の強い民進党政権に対する揺さぶりとなり、韓国はTHAAD配備への報復として「韓流芸能制限」がかけられているという。

かくの如く政経連動の影響だけでなく、露骨に政治の道具として経済活動をコントロールしている実態を見れば、経済界はチャイナリスクを軽視しすぎているように思えてならない。「来るカネは拒まず、されどあてにせず」が対中ビジネスの基本となるべきだ。
posted by 三四郎 at 08:01| 千葉 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 政治・経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>>今度はその所得に目を付け「市場」としての価値を恃もう
良く、「中国は14億人の市場では無く1億人の市場なのだ」と言われ、政治的環境が悪いのに進出する理由にして居ました。 確かに、日本人より金持ちが、1億人も居れば、儲け口としては大きいでしょう、然し、治安や食の安全性から、渡航者が減り、逆に、日本への観光客が増えた。 是が、爆買いをやって、日本国内の小売業者を潤した。 然し、爆買いは、何れ「突然死」すると、囁かれていた。旅行客はあまり減って居ないが、爆買いする理由は無くなって居るから、同じ現象はモゥ起こらないでしょう。

 それより、今やシナ経済そのものが瀕死の状況なのである。 原因は「生産過剰」を止められない事に在り、シナの国営の生産工場では、過剰生産した「在庫」が山と唸って居る。その余剰をダンピングで掃かそうとしたが、先を読んだ各国は、報復関税を発動させた。

 余剰の産品を使った、海外の大規模な公共プロジェクトも、不完全な事前調査、無理な見積もり、技術力不足、労働モラルの欠如等々によって、事業開催国から「事業案の白紙撤回」を求められている有様。 是では、余剰産品の消費は進まず、生産施設を動かせない。然し、原料輸出は長期契約ダカラ止まらない、と言う悪循環に陥っており、その間の労働者は、殆ど無給の状態ではないのか、国内の治安は、更に不安定さを増して行くだろう。

 こんな時期に、今更大陸に進出したいというのなら、日本には帰ってこないつもりで出て言ってもらいたい。 そんな無謀な人でも、日本人であれば、日本の治安系公務員は、助け出そうと命を賭けねばならないのです。
Posted by ナポレオン・ソロ at 2016年12月24日 11:01
ソロさん、こんばんは。

>こんな時期に、今更大陸に進出したいというのなら、日本には帰ってこないつもりで出て言ってもらいたい。 そんな無謀な人でも、日本人であれば、日本の治安系公務員は、助け出そうと命を賭けねばならないのです

そこが厄介なところですよね。勝手に出ていって勝手に滅びるのは自業自得というものですが、国としては国民を見捨てるわけにはいかない。

それは国内に拠点を置く今回のようなケースも同様で、企業が傾いて失業者が出てくれば公金を投入して救い出さねばならない。努々目先の利益に目をくらまされないようにしてほしいものです。
Posted by 三四郎 at 2016年12月25日 17:29
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