2009年02月26日

経済を超えるものへ

俺は建築が専門ではないが、近接する領域の仕事をしており、街並みや建物を眺めて歩くのが好きなので建築には多少の興味を持っている。先年、欧州3カ国へ出張に行った折、仕事の合間に街を歩き回り、その街並みの重厚さに圧倒された記憶がある。

ロンドンやパリは第二次大戦の戦火を潜り抜けてきたにも関わらず、歴史ある建物がそこここに散在し、「現役」として人々の生活を支えていた。商都デュッセルドルフでさえ、近代建築のなかに抑制の利いた低層の古い事務所ビルや教会建築が自然に共存し、落ち着いた美しい佇まいの街並みに羨望の念を覚えたほどである。

ところで東京駅丸の内口に程近い一画に旧東京中央郵便局がある。白い外壁が緩やかに曲線を描いた合理的な中にも優美さを兼ね備えた近代日本建築の傑作の一つだ。今世紀初頭のドイツの建築家、ブルーノ・タウトをして「モダニズム建築の傑作」と言わしめたこの建物は1931年、逓信省営繕課の技官だった吉田鉄郎の作品である。

この建物が再開発計画の俎上に上がっていることについて、鳩山総務相が「トキを焼き鳥にして食べてしまうようなもの」という秀逸な比喩を用いて批判していた(日経電子版)

>鳩山邦夫総務相は26日の衆院総務委員会で、日本郵政が進めている東京駅前の旧東京中央郵便局の再開発について、「重要文化財の価値があるものをなくすのはトキを焼き鳥にして食べてしまうようなもの」と述べた。「重大な問題だから塩谷立文部科学相と協議したい」とも話し、開発の是非を「慎重に検討する」という。民主党の河村たかし氏への答弁
>会社分割を伴う「かんぽの宿」の譲渡問題とは異なり、再開発に総務相の認可は必要ない。ただ実際には総務相の意向が開発に大きな影響を与えるとみられる。日本郵政の米沢友宏専務は同委員会で「よく当局と相談したい」と答弁した
>旧東京中央郵便局は1931年完成の昭和初期を代表する建築物。同委員会で文化庁の担当者は「重要文化財の価値がある」と話した

確かに東京駅前の超一等地に低層の古めかしいビルを残すということは経済合理性に反することだろう。この界隈は丸の内、八重洲ともに再開発が進み、スマートな高層ビルが林立して往時の面影は全くないほどだ。これらのビルが富の源泉となると言われれば否定はできない。しかし代わりに屏風のような街並みと変わり映えのしないガラス細工のような建物が並んだ様は、安ものの書き割りのようで何とも落ち着かない。まさに歴史や文化は一朝一夕には育たないものであることを感じる。

壊すことはたやすい。しかし空襲を経た東京にあって戦前から残る近代建築はただでさえ少ない。近代日本の文化の確かな証として、これは貴重な財産と思う。経済も大事だが、日本が金だけで動く国に堕しないことはより大事なことだ。ここは鳩山総務相の指導力を期待したい。
posted by 三四郎 at 23:16| Comment(8) | TrackBack(0) | 雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月01日

謹賀新年

c6c0aaa0.jpg

あけましておめでとうございます。

皆さまには穏やかな新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
旧年中は当ブログにご訪問いただき誠にありがとうございました。
何の工夫もない拙いブログではありますが、折々の思いを今年も綴ってまいろうと存じます。

本年もよろしくお願いいたします。
posted by 三四郎 at 12:18| Comment(12) | TrackBack(17) | 雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月28日

人権や

人権や 抑止されたる 荷物なり

                                    by ビシャモン

ビシャモンの旦那、含蓄に富んだ一句ですね。このまま消すには何か惜しいので残させていただきやす。
posted by 三四郎 at 22:16| Comment(2) | TrackBack(0) | 雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする